『それまでの明日』文庫化記念 伝説の作家・原錣里垢戮  
新作は10年に一度と寡作で、「伝説の男」と呼ばれる作家・原錙私立探偵・沢崎シリーズ最新作『それまでの明日』の文庫化を記念して、その謎に包まれた素顔を明らかにする。

■沢崎シリーズ最新作『それまでの明日』
ハヤカワ文庫JA/定価(本体900円+税)
私立探偵・沢崎のもとを訪れた紳士が持ち込んだのはごく簡単な身辺調査のはずだった。しかし当の依頼人が忽然と姿を消し、沢崎はいつしか金融絡みの事件の渦中に。「伝説の男」の復活に読書界が沸いたシリーズ長篇第5作。文庫化に際し14年間の沈黙と執筆の裏側を語る「著者あとがき」を付記
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■伝説の作家、原錣箸蓮
1946年佐賀県鳥栖市生まれ。 九州大学文学部美学美術史科を卒業。70年代はおもにフリージャズのピアニストとして活躍。30歳ころから意識的に翻訳ミステリを乱読し、とくにレイモンド・チャンドラーに心酔した。1988年に私立探偵・沢崎が初登場するハードボイルド長篇『そして夜は甦る』でミステリ界に颯爽とデビュー。日本の風土にハードボイルドを定着させた優秀作として高い評価を得た。89年の第2作『私が殺した少女』で第102回直木賞を受賞。90年に6つの短篇を収めた連作集『天使たちの探偵』を上梓し、第9回日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞を受賞。その後長篇第3作『さらば長き眠り』(95年)、第4作『愚か者死すべし』(2004年)と書き継ぎ、2018年に14年ぶりとなる長篇第5作『それまでの明日』を上梓する。その他の著作にエッセイ集『ミステリオーソ』『ハードボイルド』がある。現在も鳥栖でジャズ演奏と執筆に勤しんでいる。

■原錙■犬弔療狙
その1「持ち込みでデビュー」
原錣帆畧扈駛爾留震薪な出会いは、1987年、編集部に届けられた一通の持ち込み原稿から始まった。それはポケミスと同じ2段組みで組まれていた。その才能が認められ、新人としては異例の単行本による出版が決まったが、本人はポケミスで出したかった⁉

その2「第2作にして直木賞受賞」
何度も候補に挙がる作家もいる一方で、原錣和萋鷓遏愡笋殺した少女』にして早くも候補となり、見事受賞の栄冠に輝いた。原錣亮賞をきっかけに、直木賞でもミステリが市民権を得るようになる。

その3「10年に一度と寡作」
1988年のデビュー以来30年、長篇はわずか5作。第2作と第3作の間が6年間、第4作までが9年、そして第5作『それまでの明日』まではじつに14年。年季の入った読者のなかには、原錣凌刑遒鯑匹爐海箸鮴犬がいに精進している方も多いと聞く。

その4「早川書房からしか出さない」
直木賞受賞直後、当然のごとく文藝春秋はもちろん、大手出版社からの執筆依頼が殺到した。しかし、本人によれば断わったつもりはないのだが、いずれの社も痺れを切らして諦めてしまったのだとか。

その5「書くのは沢崎シリーズのみ」
長篇、短篇含めこれまで発表した小説はすべて私立探偵・沢崎もの。原錣搬崎は、両切りピースを吸い、美術や映画、ジャズ、囲碁を愛好するなど共通点も多いが、あくまでも著者は自分ではないと言い切る。そこには男の理想像が反映されているのだ。

その6「出せば10万部超え」
『私が殺した少女』の52万部、『そして夜は甦る』の30万部(いずれも単行本、文庫合計)を筆頭に、寡作ながらも出せば必ず10万部超え。エッセイも含めた著作は合計で160万部に達している。

その7「かつては黒澤組にいたことも」
黒澤作品に日本語字幕をつける仕事や、脚本修行をしていたという原錙そのためか映像へのこだわりは人一倍強く、これまで何度となくあった沢崎シリーズ映像化の話はいずれも実現していない。黒澤明が監督するのならばいいというのだが。

その8「14年間の沈黙の秘密」
『それまでの明日』の発表までに最長の14年を費やした原錙その長き沈黙の裏には何が? デビュー以来伴走してきた名編集者との別れ、執筆への執念と葛藤などを赤裸々に語る「著者あとがき」は『それまでの明日』文庫版書き下ろし。ぜひご一読を。

■沢崎シリーズとは?
西新宿に「渡辺探偵事務所」を構える私立探偵・沢崎が活躍するハードボイルド・シリーズ。事務所名はかつての沢崎の同僚の名を取ったものだが、一人になっても改称していない。初登場時は40代前半、新作『それまでの明日』では50代半ばになっている。両切りピースを手放さない愛煙家。レギュラー・メンバーに新宿署の錦織警部、清和会の暴力団員、橋爪、相良らがいる。主人公の「沢崎」は、苗字のみで下の名前は作中一度も出てこない。著者は知っているというが、明かす気はまったくないようだ。

シリーズ既刊(いずれもハヤカワ文庫JA)
『そして夜は甦る』(1988年)
『私が殺した少女』(1989年)
『天使たちの探偵』(1990年)
『さらば長き眠り』(1995年)
『愚か者死すべし』(2004年)
『それまでの明日』(2018年)

■原錣搬崎シリーズに寄せられた賛辞
原錣良活に狂喜乱舞。
この作家のおかげで私は他の小説では満足できなくなった。
――成毛 眞(書評サイトHONZ代表)

「探偵」の二文字に託された見果てぬ夢、
その全てを見届けたい。  ――法月綸太郎(作家)

魂の交差点を横切る時、沢崎は鋼の詩を口ずさむ。
この響きがダンディ。  ――原田眞人(映画監督)

遥かなる高見。原鏈酩覆狼霏腓蔽影畔だ!
――柚月裕子(作家)

沢崎を憶えているか。
孤独がロマンチックだったあの頃を。
――東山彰良(作家)



 
 
日付 : 2020/09/02 照会 : 6526
 
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