1899年、当時英国領だったエジプトのカイロに生まれる。医師を志すが成功せず、文筆活動に転向した。代表作は、ナポレオン軍との戦闘に生きた英国海軍の英雄ホンブロワーの一代記を描いた〈海の男／ホーンブロワー・シリーズ〉で、大成功をおさめたこのシリーズの影響で、数多くの模倣作が生み出されている。『パナマの死闘』を皮切りに『燃える戦列艦』、『勇者の帰還』を三部作として発表、これが評判を呼び、続篇が次々と送り出されることになった（この三部作はグレゴリー・ペック主演で『艦長ホレーショ』として映画化された）。優しさと勇気と決断力を秘めた主人公、そして大海原で繰り広げられる帆船同士の戦闘。ロマンに満ちたこの雄大なシリーズは、まさに永遠の名作というにふさわしい。フォレスターはほかにも、老朽船の船長と宣教師の妹の冒険行を描いた『アフリカの女王』（ハンフリー・ボガート主演で映画化）や、第二次大戦を舞台にした海戦小説『駆逐艦キーリング』、十九世紀初頭のスペインでの戦争を描く『青銅の巨砲』などの傑作を発表している。1966年没。