| 「彼らは最初に白人の娘を撃つ。あとの女たちは、ゆっくり片づければいい」――武装した男たちが、はぐれものの女たちが暮らす屋敷を襲撃するシーンから本作は始まります。抵抗することもできず、女たちはただ殺されていくだけ……いや、はたして本当にそうなのか。撃たれた女は、いま何ごともなかったかのように襲撃者に手をふらなかったか? 屋敷の異様な雰囲気はなんなのか? 謎めいた描写ではじまる本作はノーベル文学賞作家モリスンの長篇第七作にあたり、「モリスン文学の最高傑作だと言っても過言ではないと思う」と訳者あとがきにあるように、思索と技巧の深みに圧倒される名作です。ぶあついからってためらうのはもったいない。叙事詩的な物語にまざりあう自由奔放な幻想の美しさ、特にラストの魔術的な情景は思い出すたびに鳥肌がたちます。忘れられない一冊です。 |