SFエンターテインメントの新叢書 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ

創刊の辞

1950年代の終わり、まだ世の中に「空想科学小説」という言葉しかなかった時代に、
早川書房は、「センス・オブ・ワンダー」に満ちた「サイエンス・フィクション」の名作を紹介する
〈ハヤカワ・SF・シリーズ〉をスタートさせました。

 そして21世紀のいま、装いも新たに、〈新☆ハヤカワ・SF・シリーズ〉がスタートします。
長年のSFファンはもちろん、アニメや漫画からSFが好きになった読者まで、
幅広いSF好きが満足できる作品を厳選したこの叢書で、
SFの原点である「センス・オブ・ワンダー」を存分にご堪能ください。


第1期ラインナップ

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第2期ラインナップはこちら

○第11回配本 2013年8月
夢幻諸島から
The Islanders(2011)



クリストファー・プリースト Christopher Priest
古沢嘉通/訳

カバーイラスト:引地渉

時間勾配によって生じる歪みが原因で、精緻な地図の作成が不可能なこの世界は、
軍事的緊張状態にある諸国で構成されている「北大陸」と、その主戦場となっている「南大陸」、
およびその間のミッドウェー海に点在する島々〈夢幻諸島〉から成っている。
最凶最悪の昆虫スライムの発見譚、パントマイマー殺人事件、謎の天才画家の物語……。
死と狂気に彩られた〈夢幻諸島〉の島々には、それぞれに美しくも儚い物語があった。
語り/騙りの達人プリーストが年来のテーマとしてきた〈夢幻諸島〉ものの集大成的連作集。
英国SF協会賞/ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作。


クリストファー・プリーストは1943年イングランド生まれ。1995年に刊行した 『奇術師』は世界幻想文学大賞を受賞、クリストファー・ノーラン監督の手によりハリウッドで映画化された(映画化名「プレステージ」)。 2002年に発表された『双生児』は英国SF協会賞とクラーク賞受賞した。 2011年に発表された本書『夢幻諸島から』は英国SF協会賞とキャンベル記念賞を受賞した。



○第9回、第10回配本 2013年4月、6月
オール・クリア 1、2
All Clear(2010)

  

コニー・ウィリス Connie Willis
大森 望/訳

カバーイラスト:松尾たいこ

2060年から、第二次大戦下のイギリスでの現地調査に送りだされた、オックスフォード大学の史学生三人−−
アメリカ人記者に扮してドーヴァーをめざしたマイク、
ロンドンのデパートの売り子となったポリー、
郊外にある領主館でメイドをしていたアイリーンことメロピーは、
それぞれが未来に帰還するための降下点が使えなくなっていた。
このままでは、過去に足止めされてしまう。
ロンドンで再会した三人は、別の降下点を使うべく、同時代にいるはずの史学生ジェラルドを捜し出そうとするが……
前篇 『ブラックアウト』とともにヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞したウィリスの大作。


コニー・ウィリスは、1945年、コロラド州デンヴァー生まれ。1971年のデビュー以来、長篇・短篇で数多くのSF賞を受賞している。 本書と同じオックスフォード大学史学部タイムトラベルものの長篇『ドゥームズデイ・ブック』でヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を、 『犬は勘定に入れません』でヒューゴー賞とローカス賞を受賞している。


SFマガジン7月号【コニー・ウィリス特集号】には、コニー・ウィリスの本邦初訳短篇2篇ほか、《オックスフォード大学史学部》シリーズの イラスト・ギャラリー、主要登場人物&用語事典が掲載されています。





○第8回配本 2013年2月
言語都市 
Embassytown(2011)



チャイナ・ミエヴィル China Mieville
内田昌之/訳

カバーイラスト:星野勝之

遙かな未来、人類は辺境の惑星アリエカに居留地〈エンバシータウン〉を建設し、
謎めいた先住種族と共存を続けてきた。
アリエカ人は、口に相当する二つの器官から同時に発話するという特殊な言語構造を持っている。
そのため人類は、彼らと意思疎通できる能力を備えた〈大使〉をクローン生成し外交を行っていた。
だが、平穏だったアリエカ社会は、ある日を境に大きな変化に見舞われる。
新任大使エズ/ラーが赴任、異端の力を持つエズ/ラーの言葉は、あたかも麻薬のように
アリエカ人の間に浸透し、この辺境惑星を動乱の渦に巻き込んでいった……。
現代SFの旗手が描く新世代の異星SF。


チャイナ・ミエヴィルは1972年イングランド生まれ。ロンドン大学で国際法の博士号を得ている。2000年に刊行した『ペルディード・ストリート・ステーション』はクラーク賞ほかを受賞。『都市と都市』(2009)はヒューゴー賞ほか主要SF賞を独占した。2011年に刊行された本書『言語都市』はローカス賞を受賞している。ミエヴィルは、名実ともに現代SF/ファンタジイ界を代表する存在である。


SFマガジン4月号【「ベストSF2012」上位作家競作特集号】にも、ミエヴィルの短篇が掲載されました!





○第7回配本 2012年12月
ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器―
Goliath(2011)



スコット・ウエスターフェルド Scott Westerfeld
小林美幸/訳

カバーイラスト:Pablo Uchida

オスマン帝国のイスタンブールで、ドイツの野望を打ち砕いた公子アレックと
男装の士官候補生デリン。
英国海軍の飛行獣リヴァイアサンで東京へ向かっていた彼らは、
ロシアのツングースカで驚異の光景を目にする。
その状況を引き起こしたという天才科学者ニコラ・テスラは、
戦争終結の可能性がある電磁兵器、ゴリアテをニューヨークに建設しているという。
なんとしても戦争を終結させたいアレックは、
ゴリアテの真価を判断すべくテスラに接近するが……。
はたしてアレックの願いはかなうのか。
そしてデリンの、アレックへの密かな想いの行方は?
スチームパンク冒険譚三部作、完結篇。


 スコット・ウエスターフェルドは1963年、テキサス生まれ。『ミッドナイターズ』(東京書籍)、『アグリーズ』(ヴィレッジブックス)など、ヤング・アダルトを数多く手がける。



○第6回配本 2012年10月
量子怪盗
The Quantum Thief(2010)



ハンヌ・ライアニエミ Hannu Rajaniemi
酒井昭伸/訳

カバーイラスト:Kekai Kotaki

遠未来、小惑星群にある〈監獄〉には、ひとりの男の精神が幽閉されていた。
男の名は、量子怪盗ジャン・ル・フランブール。
かつて太陽系にその名を轟かせた彼も、今は永遠の囚われの身となっていた。
そんな彼の監獄にひとりの美少女が現れる。
高度な戦闘力を備えた少女ミエリは、脱獄させる見返りとして火星であるものを盗んで欲しい、と告げた。
その頃、火星では千年紀長者ウンルー主催のパーティーの準備が進んでいた。
怪盗から届いた予告状に対し、気鋭の青年探偵イジドールが呼び出された!
超ハイテク世界の火星で展開されるポストヒューマン時代の怪盗対名探偵の対決。


ハンヌ・ライアニエミは1978年フィンランド生まれ。オウル大学で数学の学士号を取得、エジンバラ大学で数理物理学の博士号を得ている。2003年“Shibuya no Love”でデビュー。2010年に、本書『量子怪盗』で長篇デビューを果たした。チャールズ・ストロスの後継者と目される新進気鋭のSF作家である。


SFマガジン12月号【The Best of 2011特集号】にも、ライアニエミの短篇が掲載されました!





○第5回配本 2012年8月
ブラックアウト
Blackout(2010)



コニー・ウィリス Connie Willis
大森 望/訳

カバーイラスト:松尾たいこ

2060年、オックスフォード大学の史学生三人は、第二次大戦下のイギリスでの現地調査に送りだされた。
メロピーは郊外の屋敷のメイドとして疎開児童を観察し、ポリーはデパートの売り子として
ロンドン大空襲で灯火管制(ブラックアウト)のもとにある市民生活を体験し、
マイクルはアメリカ人記者としてダンケルク撤退における民間人の英雄を探そうとしていた。
ところが、現地に到着した三人はそれぞれ思いもよらぬ事態にまきこまれてしまう……
続篇『オール・クリア』とともにヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞の三賞を受賞した、
人気作家ウィリスの大作。


コニー・ウィリスは1945年、コロラド州デンヴァー生まれ。1971年のデビュー以来、長篇・短篇で数多くのSF賞を受賞している。本書と同じオックスフォード大学史学部タイムトラベルものの長篇『ドゥームズデイ・ブック』でヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を、『犬は勘定に入れません』でヒューゴー賞とローカス賞を受賞している。



○第4回配本 2012年6月
ベヒモス ―クラーケンと潜水艦―
Behemoth(2010)

 

スコット・ウエスターフェルド Scott Westerfeld
小林美幸/訳

カバーイラスト:Pablo Uchida

イギリスなど遺伝子操作を駆使する〈ダーウィニスト〉と、ドイツら機械工学を発展させた〈クランカー〉、
対立するふたつの勢力はついに世界大戦に突入した。
英国海軍が誇る巨大飛行獣リヴァイアサンは、オスマン帝国へ赴く。
急速に親ドイツ化しつつあるトルコで、皇帝を説得する任にあたるノラ・バーロウ博士を運ぶためだ。
男装の士官候補生デリンは、博士とともにドイツ軍の侵攻を目撃する。
一方、亡きオーストリア大公の息子アレックはイスタンブールで逃亡を図るが――
デリンとアレック、ふたりの友情が革命の鍵となるスチームパンク冒険譚、激動の第二部。


 スコット・ウエスターフェルドは1963年、テキサス生まれ。『ミッドナイターズ』(東京書籍)、『アグリーズ』(ヴィレッジブックス)など、ヤング・アダルトを数多く手がける。



○第3回配本 2012年4月
サイバラバード・デイズ
Cyberabad Days(2009)



イアン・マクドナルド Ian McDonald
下楠昌哉・中村仁美/訳

カバーイラスト:Stephan Martiniere

分離戦争まっただなかのインド。サンジーヴの村にも戦火がおよぶ。
アニメさながらの巨大ロボットの戦いに、子供も大人も大喝采。
ロボット戦士にあこがれて、サンジーヴは都会へと向かうが……「サンジーヴとロボット戦士」、
ダンサーのエシャは、レベル二・九という高い知性を持つAIの外交官A・J・ラオに求婚される。
怖ろしいまでに魅力的な彼に、エシャはすっかり夢中になるが……
AIと人間との結婚が産みだす悲喜劇を描き、ヒューゴー賞、英国SF協会賞を受賞した「ジンの花嫁」など、
猥雑で生命力あふれる近未来のインドを描く連作中短篇7篇を収録。
2010年ディック賞特別賞を受賞。


イアン・マクドナルドは1960年、英国マンチェスターの生まれ。5歳の時、北アイルランドに移住。大学では心理学を専攻するが中退。1988年に発表した第1長篇『火星夜想曲』でローカス賞を受賞。91年発表の『黎明の王 白昼の女王』でディック賞を受賞。2004年に刊行した本書の姉妹長篇 River of Gods は、英国SF協会賞を受賞している。


SFマガジン【イアン・マクドナルド特集号】もごらんください!





○第2回配本 2012年2月
第六ポンプ
Pump Six and Other Stories(2008)



パオロ・バチガルピ  Paolo Bacigalupi
中原尚哉・金子 浩/訳

カバーイラスト:鈴木康士

化学物質の摂取過剰のため、出生率の低下と痴呆化が進行したニューヨーク。
市の下水ポンプ施設の職員である主人公の視点から、あり得べき近未来社会を描いた
ローカス賞受賞の表題作。石油資源が枯渇し、穀物と筋肉がエネルギー源となっている
アメリカを舞台に、『ねじまき少女』と同設定で描くスタージョン記念賞受賞作「カロリーマン」。
身体を楽器のフルートのように改変された二人の少女を描く「フルーテッド・ガールズ」ほか、
本邦初訳5篇を含む全10篇を収録。
ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞受賞の『ねじまき少女』で
一躍SF界の寵児となった著者の第一短篇集。


パオロ・バチガルピは1973年、コロラド生まれ。2009年に発表した『ねじまき少女』が高い評価を受け、SF界の寵児となる。著書はほかに Ship Breaker (2010)など。



○第1回配本 2011年12月
リヴァイアサン ―クジラと蒸気機関―
Leviathan(2009)



スコット・ウエスターフェルド  Scott Westerfeld
小林美幸/訳 

カバーイラスト:Pablo Uchida

1914年、世界はイギリスなど遺伝子操作した獣を動力源とする“ダーウィニスト”と、
ドイツなど産業革命以降の機械工学を発展させた“クランカー”の二大勢力が拮抗し、
一触即発の状態だった。そしてオーストリア大公夫妻が暗殺されたことを機に、
ヨーロッパで世界大戦の幕が上がる……。

身分を隠し逃亡する大公の息子アレックと、空への憧れから男装し英国海軍航空隊に志願した少女デリン。
ふたりの運命を軸に、二律背反のテクノロジーが彩る世界大戦を描きだす冒険エンタテインメント三部作開幕篇。

ローカス賞・オーリアリス賞受賞。

スコット・ウエスターフェルドは1963年、テキサス生まれ。『ミッドナイターズ』(東京書籍)、『アグリーズ』(ヴィレッジブックス)など、ヤング・アダルトを数多く手がける。

〈リヴァイアサン〉三部作の予告篇もごらんください! (英語のみ)




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