正しい魔女のつくりかた
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12才のジョーは、父親と2人でロンドンにくらしている。だがクリスマス直前の12月20日、スコットランドに住む大おばが急病で倒れ、父親は1人でおみまいに行くことに。ジョーは、再婚してカンタベリーに住む母親のもとへ行かされる。
クリスマスの予定がすっかりくるってしまい、むっつりしたまま列車に乗りこんだジョーは、3人の乗客といっしょになった客車のなかで、へんてこなできごとに遭遇する。女性のハンドバッグからヘビが顔を出したかと思ったら、電気が消えて真っ暗になり、それから目もくらむような閃光が走ったのだ。おじけづいたジョーは、あわてるあまりちがう駅で列車をおりてしまう。
そこは、カンタベリーの8キロ手前のスタブル・エンドという駅だった。つぎの列車は数時間後、バスもタクシーもいない。電話も雪のため不通だ。ジョーはとほうにくれるが、駅員の厚意でわすれものの大人用三輪車をゆずってもらい、雪道をこいでカンタベリーをめざす。ところがそのとちゅう、三輪車がとつぜん、ジョーを乗せたまま暴走をはじめる。やがてつっこんでいった先は、なんと魔女たちがくらす家。魔法で三輪車に変えられた魔女のほうきが、ひたすら家をめざしていたのだった。年かさの魔女たちは突如あらわれたジョーにめいわくそうな顔だが、ただ1人、いちばんの下っぱでジョーとおなじ年ごろの少女、トゥイギーだけは親切にしてくれる。
ジョーが列車のなかで出くわした光景のことを話すと、トゥイギーは、それは魔法にちがいないと断定する。なにが起こったのか知りたいトゥイギーは、ジョーをつれて調査に動きはじめる。やがてあきらかになったのは、客車にいた3人はみな魔女で、暗やみのなかで魔法をはなちあって戦っていたこと、その結果勝った1人が、重要書類をうばい取ったらしいことだった。その重要書類とは、魔法界のバイブルともいえる魔法書『メイベルの本』の失われたページ。あまりに強力で危険な魔法について書かれていたことから、著者みずからがやぶりすてたといわれる、まぼろしのページが発見されていたのだ。これが悪者の手にわたれば、どんなおそろしいことが起こるかわかったものではない。トゥイギーとジョーはなんとか取りかえそうと奮闘するが、事態は二転三転し……
木の葉に見えないインクで文字を書いて飛ばす〈葉書〉、初心者がほうきにぬる〈飛行軟膏〉など、ネーミングもおもしろいかずかずの魔法が魅力的。魔女としては半人前のトゥイギーと、魔力すら持たないジョーというあぶなっかしいコンビが、友情を深めながらすこしずつなぞをときあかしていく。クリスマスらしい描写もおりこみながら、すっきりと一件落着するラストシーンまで、一気に読ませる作品。 150028
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