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ホーム > お知らせリスト >岩手・遠野の「供養絵額」をテーマにした歴史ファンタジー『ヤマユリワラシ』刊行

お知らせ

岩手・遠野の「供養絵額」をテーマにした歴史ファンタジー『ヤマユリワラシ』刊行 (2016/01/22)

岩手県遠野市は、柳田國男の『遠野物語』の舞台であり、天狗や河童、ザシキワラシなどの不思議な伝承が数多く残され、今なお語り継がれている。遠野市の寺院を訪ねると、遺影写真や肖像画に交じって、しばしば浮世絵風の人物を描いた板絵が掲額されているのを見ることができる。この板絵には、戒名と没年号が書き込まれていることから、死者の姿を描いたもの考えられる。(中略)絵馬と形式はよく似ているが、現世利益を本質とする絵馬と異なり、死者の追善供養を本質とするため、「供養絵額」という名称を使うことにしている。
(遠野文化研究センター/遠野市立博物館 学芸員 前川さおり 作品解説より)



「供養絵額」は岩手県遠野市付近で、江戸後期から明治にかけて続いた独自の風習であり、本作『ヤマユリワラシ』の主人公・外川市五郎は、その供養絵額を描いた代表的な絵師とされる外川仕候という人物です。

絵を描くこと以外には才も無く友も居ない――そんな孤独な青年武士の市五郎が、とある村落でまるで座敷童子のような不思議な少女・桂香と出会ったことから物語は始まります。ふとしたきっかけから市五郎と桂香の二人で手掛けることになった死者の絵――供養絵額。その最大の特徴は「死者を生者のように描くこと」。絵額の中で、死者は豪華な着物やたくさんのご馳走で彩られ、未婚者には配偶者が、あるいは生きていれば存在したかもしれない家族が付け足して描かれます。

数々の供養絵額を描いて高名になる市五郎ですが、同時に重税と貧苦にあえぐ遠野の人々の実像へ直面していくことになります。果たして絵を描いていくことだけで、人々に幸せをもたらすことはできるのか。もっと他にできることがあるのではないか。悩み抜いた市五郎が、最終的にとった決断の形とは。そして彼を見つめ続けた少女・桂香の儚い想いは届くのか……。

本作はフィクションであり、ファンタジーです。実在する「供養絵額」の誕生にまつわる“ひょっとしたら有り得たかもしれないストーリー”を、『時を編む者』でデビューして以来、独自の世界観でファンタジー作品を生み出し続けている澤見彰さんが描きます。人気急上昇中のげみさんの流麗なカバーイラストと共にお楽しみ下さい。


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