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ホーム > お知らせリスト >グレッグ・イーガンの新作『ゼンデギ』登場!

お知らせ

グレッグ・イーガンの新作『ゼンデギ』登場! (2015/06/22)

現代最高のSF作家と名高いグレッグ・イーガンの新作『ゼンデギ』が、ハヤカワ文庫SFに登場します。
 
オーストラリア人記者のマーティンは、2012年、イランで歴史的な政権交代の場に居合わせ、技術が人々を解放する力を実感する。15年後、余命を宣告された彼は、残される幼い息子を案じ、ヴァーチャルリアリティ・システム〈ゼンデギ〉の開発者ナシムに接触する。彼女の開発した脳スキャン応用技術を用いて〈ゼンデギ〉内部に〈ヴァーチャル・マーティン〉を作り、死後も息子を導いていきたいと考えたが……。
 
『ゼンデギ』というタイトルを不思議に思われたかたも多いのではないでしょうか。これは作中のヴァーチャルリアリティ・システムの名称からとられました。英語のlifeにあたるペルシャ語です。このVRシステムはさまざまなゲームが楽しめるもので、lifeつながりの「セカンドライフ」のようなものだと考えていただければいいでしょう。
 
物語はマーティンとナシムの視点で章ごとにほぼ交互に語られていきますが、それまでほぼ無関係だったふたりが、〈ゼンデギ〉のテクノロジーを介して結びつけられていきます。本書のSFのキモになるのもこの〈ゼンデギ〉の技術。ほぼ現在を舞台にしていて、現実から一歩踏み出す時点を丁寧に描きこんだ作品です。
 
また、上述のあらすじは作品の一面だけを拾ったもので、読者次第でさまざまに読みこむことができるのが本書の特徴です。訳者あとがきで「伏線の細かさでも、本書はイーガン長篇で上位に来ると思う」と指摘されていますが、たしかにそう強く感じられました。
 
コンピューター上に人間のコピーをつくるということで、『順列都市』を思い浮かべられます(が、同じ未来史の作品ではありません)。あるいは、「ひとりっ子」(同名の短篇集に収録)に印象として似ている部分もあります。遠未来が舞台でもなく、物理法則が違う世界でもなく、いわば、「読みやすいイーガン」です。リーダビリティはかなり高いです。これまでの長篇の『白熱光』や『ディアスポラ』のように、「読者の多くが勘違いするポイント」があったり、作者による解説図が必須だったりとか、そういう難しいことはないのでご安心を。



 
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