海外文学シリーズ「ハヤカワ・プラス」創刊! 第1弾は、ブッカー賞を受賞したディストピア小説『預言者の歌』など2作品を5月1日発売

書籍

早川書房は2026年5月、海外文学シリーズ「ハヤカワ・プラス」を創刊します。世界文学の“今”と“未来”を届けるシリーズです。

ノーベル文学賞、ブッカー賞、ゴンクール賞をはじめとする世界的な文学賞受賞作から、確かな才能を秘めた注目の新作まで、欧米、アジア、アフリカ諸国などで書かれた「現代文学の到達点」を厳選します。

ラインナップ

■第1回配本(2026年5月)
『預言者の歌』
ポール・リンチ/栩木伸明訳 [アイルランド]
2023年ブッカー賞受賞作! 監視社会下で、家族の自由を願う母が下した決断

『すべての石に宿る神』
カミーラ・シャムジー/河内恵子訳 [パキスタン・イギリス]
第一次大戦後の激変に翻弄されるイギリスとインドの男女を描く歴史小説

■第2回配本(2026年7月)
『オービタル』
サマンサ・ハーヴィー/小澤身和子訳 [イギリス]
2024年ブッカー賞受賞作! 宇宙ステーションから地球を見つめる飛行士の物語

■第3回配本(2026年10月)
『カイロス』
ジェニー・エルペンベック/松永美穂訳 [ドイツ]
2024年ブッカー国際賞受賞作! 東ドイツ崩壊前夜の狂おしい恋

■第4回配本(2027年1月)
『天上の女たち』
カメル・ダーウド/岩坂悦子訳 [アルジェリア]
2024年ゴンクール賞受賞作! アルジェリア内戦の記憶をめぐる再生の物語

■以下、続刊
年に4回、4月・7月・10月・1月にお届けします(第1回配本に限り、5月1日発売)。
※タイトル・発売時期は予告なく変更する可能性があります。


シリーズの装幀は名久井直子氏。白地に青い文字のカバーが目印です。

第1回配本詳細

『預言者の歌』書影
『預言者の歌』ポール・リンチ/栩木伸明訳

PROPHET SONG by Paul Lynch 2026年5月1日発売
『一九八四年』を想起させる新たなディストピア小説! ブッカー賞受賞作
ある雨の晩、エイリッシュの自宅をふたりの警察官が訪ねてきた。教員組合の幹部である夫ラリーに話を聞きたいというのだ。そのときから、夫や子どもと平穏に暮らしていたエイリッシュの日常に、影が忍び寄ってくる。デモに出かけたラリーは行方不明となり、同僚は逮捕され、高校生の長男には召集令状が届く。夫の帰りを待つか、子どもたちを守るため国外脱出するか。エイリッシュは決断を迫られる――。極右政党が政権を握った近未来のアイルランドを描く衝撃作。

訳者からのメッセージ
エイリッシュがひとつの重大な決断を迫られたとき、「預言者達が歌うのは、時を越えて歌われてきたひとつの同じ歌」だということに彼女は思い至る。本作にタイトルを与えた「預言者の歌」が「ひとつの同じ歌」だとしたら、その歌は多種多様な条件の下に生きている人間達──ぼく達のことだ──に希望と失望が綯い交ぜになった思いの束を投げ与えるに違いない。世界各地で極右勢力が台頭しつつある今、本作は読み手がさまざまな視点から共感し、それぞれの周囲にある希望と失望が入り交じった状況を映す鏡になり得るだろう。

本書への賛辞
「リンチが成し遂げた言語の離れ業には、目を見張るほかない……これは鮮烈かつ勇敢な、感情を揺さぶるストーリーテリングの勝利である」エシ・エデュジヤン(ブッカー賞選考委員長)
「共感に満ち、疾走感があり、今こそ読まれるべき一冊。読者は想像せずにはいられない――もし、これが私に起きたら、と」フィナンシャル・タイムズ紙
「何度も心がちぎれそうでした。しかし、それでも読まずにはいられません」紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子


著者紹介
ポール・リンチ近影
Photo©Joel Saget_AFP
ポール・リンチ(Paul Lynch)
1977年アイルランド生まれ。2013年にRed Sky in Morningで作家デビュー。本作『預言者の歌』は長篇第5作にあたり、2023年にイギリス最高峰の文学賞ブッカー賞を受賞し、2024年にアメリカのデイトン文学平和賞、2025年にフランス書店員賞(最優秀外国小説部門)を受賞した。また、イタリアのストレーガ・エウロペオ賞、アメリカのカーカス賞などにもノミネートされ、現在は37の言語に訳されている。

書誌情報
『預言者の歌』ポール・リンチ/栩木伸明 訳
定価:3,410円(10%税込)
発売日:2026年5月1日 判型:四六判
ISBN:978-4-15-210514-1


『すべての石に宿る神』カミーラ・シャムジー/河内恵子訳

A GOD IN EVERY STONE by Kamila Shamsie 2026年5月1日発売

女性小説賞受賞作家が繊細な筆致で描く歴史ロマン
1914年、古代遺跡を発掘する英国人女性ヴィヴィアンと英領インド軍のパシュトゥーン人兵士カイユーム。やがてペシャワール行きの列車で出会った二人の運命は、15年後、反植民地抵抗運動と、古代の遺物を巡り交錯する。歴史に埋もれた声なき声を紡ぎだす、心震わす物語。

訳者からのメッセージ
時の揺さぶりに翻弄されながらも、自らの存在の輪郭を明確に創り出していく登場人物たちを豊かな言語で描き出したこの小説は、アリ・スミスやミシェール・ロバーツ等の作家たちに絶賛され数々の文学賞の候補となった。フェミニズム、植民地と被植民地の関係、世界史と個人史といったように多くの批評の軸を提供するこの作品ではあるが、まずは、すぐれた語りが創る小説世界を楽しみたい。

本書への賛辞
「見事な小説――美しく、苛烈で、真実。早くも古典の風格を備えている」アリ・スミス(作家)
「胸躍り、読み終えたとき深く心を揺さぶられる。どんなに気が滅入っているときでも、心を慰めてくれる」アントニア・フレイザー(作家)/ガーディアン誌
「ラストシーンの臨場感がすさまじく群集の真っ只中にいるような心地がしました」丸善丸の内本店 玉井佐和

著者紹介

©Alex von Tunzelmann
カミーラ・シャムジー Kamila Shamsie
1973年、パキスタンのカラチ生まれ。1998年にIn the City by the Seaで作家デビュー。2009年刊の『焦げついた影』(早川書房刊)はイギリスでその年の優れた女性作家の小説に与えられるオレンジ賞(現・女性小説賞)の最終候補作となり、アメリカのアニスフィールド・ウルフ図書賞を受賞。2014年刊の本書『すべての石に宿る神』は、著者自ら一番気に入っていると語る作品で、女性小説賞の候補となった。2017年刊の『帰りたい』ではイギリス最高峰の文学賞であるブッカー賞の候補となり、女性小説賞を受賞した。2007年にイギリスに移住し、2013年には英国籍を取得。

書誌情報
『すべての石に宿る神』カミーラ・シャムジー/河内恵子 訳
定価:3960円(10%税込)
発売日:2026年5月1日 判型:四六判
ISBN:978-4-15-210515-8