お知らせピクサーの成功の陰には、驚くべき苦難と歓喜のドラマがあった! 『ピクサー 早すぎた天才たちの大逆転劇』発売。 (2015/02/19) 『トイ・ストーリー』『ファインディング・ニモ』などの大ヒット作を次々と生み出し、今や世界有数のアニメーション・スタジオとなったピクサー。しかしその創立から『トイ・ストーリー』をヒットさせるまでの約10年間、一度も黒字を出せない「ダメ会社」だったことをご存じでしょうか? 2月20日発売の文庫『ピクサー 早すぎた天才たちの大逆転劇』は、そんなピクサーの知られざる歴史に迫ったノンフィクションです(『メイキング・オブ・ピクサー 創造力をつくった人びと』〔2009年〕の改題・文庫化)。
ピクサー社長のエド・キャットムルは、CG創成期から長編CGアニメーションの制作を夢見ていたコンピュータ・サイエンス学者。CG研究所を経て『スター・ウォーズ』を生んだルーカスフィルムのコンピュータ部門を任されますが、当時CGアニメ制作ソフトなどあるはずもなく、まず技術開発から始めなければなりませんでした。しかし莫大な費用と時間がかかる割に成果は上がらず、キャットムルのチームは利益を生まないお荷物部門として売りに出されてしまいます。 それを買収して「ピクサー」という会社を立ち上げたのが、アップルを追い出された直後のスティーヴ・ジョブズ。ピクサーは相変わらず赤字続きでしたが、アップルでの成功がまぐれでないことを証明したいジョブズはこの新会社を潰すわけにいかず、ほとんど意地になって経営を支え続けます。 同じく新たな可能性を信じて同社に参加したのがアニメーターのジョン・ラセター。技術屋ばかりのチームにクリエイターの視点をもたらした彼は、実はこの時、子供の頃からの憧れだったディズニーをクビになったばかりでした。 世間から見れば「失敗者」だった3人を中心に、ピクサーは時にハード製造会社という仮の姿に甘んじ、時に不本意な仕事を引き受けながら「長編CGアニメーションをつくる」という目標に向かって一歩ずつ前進していきます。このあたりの先駆者ならではの苦労を知ると、ピクサー作品の見方が変わること請け合いです。 『トイ・ストーリー』ほか数々の作品を大成功させたあと、ピクサーはディズニーに買収され、キャットムルがディズニー・アニメーション・スタジオの社長に、かつて同社を解雇されたラセターがチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したことは周知のとおり。彼らがどのような紆余曲折を経て現在の地位につくことになったのかは、ぜひ本書でお確かめください。ラセターと彼が尊敬してやまない日本の巨匠、宮崎駿監督との家族ぐるみの交流や、ディズニーの重鎮たちのCGに対する反応など、興味深いエピソードも満載です。 |