デットフォードのネズミたち 3 最後の決戦 3
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冬がやってきた。冬至祭の夜、デットフォードのネズミたちが集まって暖を取りながら、老ネズミの語る怪談に耳をかたむけていると、とつぜんさわぎが発生する。夜空に見たことがないほど多数のコウモリが集結していた。未来を見とおすことのできるコウモリたちが、なにかの危険を察知して大移動をはじめたのだ。これまでたびたび危機をくぐりぬけてきたアーサーとオードリーのきょうだいや、体の弱いオズワルドら、わかいネズミたちは不安をいだく。
ところかわって、ロンドン市街のホールボーン。デットフォードから帰ってきた町ネズミのピカディリーは、近ごろドブネズミの社会が1ぴきの新参者にしきられ、好戦的になっていると聞く。偵察に出たかれが目にした新しい指導者とは、わすれもしないジュピターの副官、モーガンであった。ドブネズミたちに熱弁をふるい、ネズミどもを食うためホールボーンにせめいろう、とあおりたてている。見張りに発見されたピカディリーは必死でにげるが、地下鉄の線路に落ち、気をうしなってしまう。
そのころ、リスの女長老スターワイフらが住まうグリニッジ天文台が襲撃され、星ぼしの力を映す魔法の鏡、星ガラスがうばわれてしまった。みたびこの世によみがえった、暗黒の王ジュピターのしわざだった。ジュピターは星ぼしのエネルギーをすいとり、不死身と化してさらに攻撃をつづける。
意識を取りもどしたピカディリーは、すべてが手おくれだったことを思い知らされる。モーガンの軍勢はホールボーンを破壊しつくし、次の目的地デットフォードへ向けて進軍中だった。だが、疲れの見える軍勢には亀裂が生じ、仲間割れが激化する。みずからの部下におそいかかるモーガンのすがたをまのあたりにしたピカディリーは、やがておそろしい事実を知る。ジュピターのためにモーガンが用意した最強軍団の正体とは、じつは……
のどかな夏を舞台とした前作とはうってかわって、冬のつめたさや暗さが印象的な物語。ラストでは主人公の成長がまざまざと感じられ、希望が見える。テンポのよい、アクション中心のホラー・ファンタジイとして展開してきた3部作だが、しだいに深みをくわえながら、みごとな完結となった。
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