デットフォードのネズミたち 2 水晶の牢獄 2
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闇の王ジュピターが死に、ドブネズミたちも去ったデットフォードで、ネズミたちはおだやかな夏をむかえようとしていた。ある日、オードリーにリスの女長老スターワイフから呼び出しがかかる。不審に思いながらたずねていくと、スターワイフは意外な要求をつきつける。うらない師のマダム・アキクユにつきそって、トウィットの故郷の村に行けというのだ。前作で、ジュピターのおぞましいすがたをまのあたりにして気がふれてしまったアキクユは、オードリーといっしょにしずかな土地に行ってくらすのだ、という妄想にとりつかれていた。オードリーは反発するが、けっきょくアキクユとトウィットに同行せざるをえなくなる。妹を気づかって、オードリーの兄アーサーもいっしょに行くことになった。
たどりついたトウィットの故郷フェニーウォルドは、和を重んじるおだやかな村長ウッドラフのもと、気さくなネズミたちがくらす平和な土地だった。だが、なかにはアイザックのように、ネズミの神グリーンマウスの教えを厳格に守る、頑迷で口うるさいものもいた。
そのころマダム・アキクユは、夜ごとの夢にあらわれ、自分の名を呼ぶ声になやまされていた。しだいに昼間でも聞こえるようになったその声は、ニコディーマスと名のる。大地の精であるというニコディーマスは、前々から魔力を熱望していたアキクユに、魔法を教えてやるとささやきかける。アキクユは半信半疑ながらも、ニコディーマスの教えを受けはじめる。
そんなとき、フェニーウォルドに絞殺魔が出没し、村のネズミたちがつぎつぎと犠牲になる。アイザックの思いこみから、オードリーは犯人のぬれぎぬを着せられ、火あぶりにされることになってしまう。絶体絶命のオードリー。すべては、ニコディーマスの名をかたるあの敵がしくんだわなだった……
舞台をいなかの村へうつした第2作は、のどかなくらしぶりのシンプルな描写も魅力で、物語としての奥ゆきを感じる。また、そうしたのどかさとの対比で、じわじわと高まっていく恐怖がより効果的にえがかれている。前作の特徴であった、意外な展開や結末の派手なスペクタクルも健在で、前作に引けをとらない傑作となっている。
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