第13回ハヤカワSFコンテスト最終選考結果発表
8月8日(金)、第13回ハヤカワSFコンテストの最終選考会が、小川一水氏、神林長平氏、菅浩江氏、小社編集部・塩澤の4名により行なわれ、協議の結果、関元聡(せきもと・さとし)氏の「摂氏千度、五万気圧」が優秀賞に、土形亜理(つちがた・あり)氏の「みずうみの満ちるまで」が特別賞に、それぞれ決定いたしました。優秀賞受賞作は2025年12月に単行本で刊行、特別賞受賞作は2026年1月以降に刊行予定です。
詳しい選評は〈SFマガジン〉12月号(10月24日発売)に掲載いたします。
第13回ハヤカワSFコンテスト
優秀賞
関元聡
「摂氏千度、五万気圧」
●あらすじ
地球温暖化が深刻化した近未来、宇宙から飛来した正体不明の〈救済者〉は、世界各地に「コクーン」と呼ばれる密閉ドームを残して去った。そこに避難したごく一部の人類以外は、高温と飢えと病で死滅する――数百年後、コクーンの半数と連絡が途絶え、原因究明のため調査隊が出発した。隊員の技術者エリーは住民が全滅したコクーンを調査し、地球の高温環境に適応進化した女系民族〈結晶の民〉によるテロを疑うが……過酷な環境で生き残りを賭ける者たちの罪と復讐を描いた、灼熱地球のポストアポカリプスSF。
著者略歴:1970年生まれ。千葉県出身。2020年「Black Plants」で第7回日経「星新一賞」一般部門優秀賞(日本精工賞)を受賞。2022年「リンネウス」で第9回、2023年「楕円軌道の精霊たち」で第10回の日経「星新一賞」一般部門グランプリ(星新一賞)を2年連続受賞。日本SF作家クラブ会員。
特別賞
土形亜理
「みずうみの満ちるまで」
●あらすじ
地球は気候変動と戦争で荒廃し、多くの人々が難民として現実世界で苦しんでいた。一方、富裕層は莫大な費用を投じて意識をアップロードし、仮想世界で永遠に生きられる。しかし中には現実で死を選び、全財産を次世代へ寄付する者もいる。〈ヘヴンズガーデン〉は、彼らに理想的な最期の四週間を提供する施設だ。コーディネーターとして働く元戦争孤児のエルムは、後悔や罪悪感を抱える入居者たちや施設創設者「三毛猫」との日々を通じ、自らの過去と生きる意味に向き合うこととなる。人類の過ちと環境破壊の果てを静謐に描く物語。
著者略歴:1980年生まれ。埼玉県出身。
該当するデータがありません