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『ポアロとグリーンショアの阿房宮』刊行! (2014/12/26)
21世紀に入ってもクリスティーの新作が読めると、誰が想像したでしょう。そんな驚きの一冊が本書、『ポアロとグリーンショアの阿房宮』です。本作は原稿が完成していたにもかかわらず、ある事情から発表されませんでした。そんな作品が近年になって発見されたのです。
名探偵のエルキュール・ポアロはある日、ミステリ作家のオリヴァ夫人から田舎のグリーンショア屋敷に呼び出されます。そこで起こりつつある事件を未然に防いでほしいと依頼されますが――クリスティーファンの方は、おや、と思ったでしょうか。本作は『死者のあやまち』の原型なのです。
本書には表題の中篇「ポアロとグリーンショアの阿房宮」の他に、クリスティーの装画を長年手がけたイラストレーターのトム・アダムズの「はじめに」、クリスティーの孫であるマシュー・プリチャードの「まえがき」、『アガサ・クリスティーの秘密ノート』の著者ジョン・カランの解説「アガサ・クリスティーとグリーンショアの阿房宮」が収録されています。ジョン・カランの解説では、出版されなかった事情、クリスティーの創作メモに基づいた作品の分析などが記され、本作を深く知ることのできるものとなっています。また、マシュー・プリチャードの「まえがき」では、本作の舞台グリーンショア屋敷のモデルであり、クリスティーが愛したグリーンウェイハウスの姿が描写されています。孫の目から見たクリスティーはどんなおばあちゃんだったのかが垣間見えます。
未発表作品だけでなく、ミステリの女王クリスティーの創作姿勢も知ることができる本書、ぜひご一読ください。