エッセイスト、仏文学翻訳家として文筆家のキャリアをスタートさせ、その後、1986年『野望のラビリンス』で小説家デビュー。
1995年に『鋼鉄の騎士』で日本推理作家協会賞と日本冒険小説協会特別賞を同時受賞。
さらに2001年に『愛の領分』で直木賞を、2017年に『大雪物語』で吉川英治文学賞を受賞。
冒険小説、ハードボイルド、犯罪小説、といったミステリのみならず、恋愛小説や家族小説など多彩なジャンルで活躍した藤田宜永氏が、1月30日、右下葉肺腺がんで永眠されました。
故人の遺志で、告別式は家族のみでおこない、お別れの会は開催しないとのこと。
藤田氏と弊社とは、1981年に《ミステリマガジン》でフランス・ミステリ事情の紹介者としてお付き合いが始まり、その後もピエール・マンシェットの『危険なささやき』の翻訳者として、長篇ハードボイルド〈浜崎順一郎〉シリーズ『喝采』『タフガイ』の著者として、さらにアガサ・クリスティー賞の最終選考委員としてもお世話になりました。
《ミステリマガジン》2014年10月号で藤田宜永責任編集特集をおこなった際には、《フジタ・ヨシナガ・ミステール・マガジン》の次号予告を出して、きっと次号を出しましょうと話し、特集号をとても気に入っていただいていました。
また直前まで、お元気になられたら、シリーズの続きも含めて新しいことも一緒にやりましょうと話しておりました。小説のみならず、音楽や映画や酒、フランス事情にも造詣が深く、軽妙洒脱で話上手、義理堅く細やかなお気遣いで多くの人から愛された方でした。
本当に残念でなりません。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
(2020年2月末締切で募集している第10回アガサ・クリスティー賞につきましては、他の選考委員三人〔北上次郎氏、鴻巣友季子氏、弊社ミステリマガジン編集長〕により選考を行ないます) |
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