【内容紹介】
アメリカ東海岸に住むジェレミー・マーズは、巨大蜘蛛もの専門の人気ホラー作家を父に持つ15歳の少年。毎回キャストが変わり放送局も変わる、予測不可能で神出鬼没のテレビ番組「図書館」の大ファンだ。大おばからラスベガスのウェディングチャペルと電話ボックスを相続した母親とジェレミーは、そこに向けての大陸横断旅行を計画している。自分の電話ボックスに誰も出るはずのない電話を何度もかけていたジェレミーは、ある晩、耳慣れた声を聞く。「図書館」の主要キャラのフォックスだった。番組内で絶体絶命の窮地に立たされている彼女は、ある3冊の本を盗んで届けてほしいというのだ。フォックスは画面中の人物のはず。いったい、どうやって? ジェレミーはフォックスを救うため、自分の電話ボックスを探す旅に出る……。爽やかな詩情を残す異色の青春小説である表題作(ネビュラ賞他受賞)。
国一つが、まるごとしまい込まれているハンドバッグを持っている祖母と、そのバッグのなかに消えてしまった幼なじみを探す少女を描いたファンタジイ「妖精のハンドバッグ」(ヒューゴー賞他受賞)。
なにかに取り憑かれた家を買ってしまった一家の騒動を描く、家族小説の傑作「石の動物」。
ファンタジイ、ゴースト・ストーリー、青春小説、おとぎ話、主流文学など、さまざまなジャンルの小説9篇を、独特の瑞々しい感性で綴り、かつて誰も訪れたことのない場所へと誘う、異色短篇のショウケース。
【著者紹介】
1969年生まれ。コロンビア大学で学士号を取得し、ノースキャロライナ大学で修士号を取得した後、〈クラリオン・ワークショップ〉に参加、95年に「黒犬の背に水」でデビュー。「雪の女王と旅して」でティプトリー賞(97年)、「スペシャリストの帽子」で世界幻想文学大賞(99年)、「ルイーズのゴースト」で2001年度のネビュラ賞を受賞。これらの作品を収録し、2001年に刊行された第一短篇集『スペシャリストの帽子』(ハヤカワ文庫FT)は、ファンタジイ界のみならず、主流文学界からも高い評価を受け、日本でもジャンルの枠を超えて紹介された。2005年に発表された第二短篇集である本書『マジック・フォー・ビギナーズ』は、ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞受賞の「妖精のハンドバッグ」、ネビュラ賞/ローカス賞/英国SF協会賞受賞の表題作を収録。刊行後すぐに〈ニューヨーク・タイムズ〉の書評で紹介されるなど、大きな話題となり、2006年度のローカス賞短篇集部門を受賞した。2007年8月に日本で初開催される世界SF大会に合わせて来日予定の彼女は、いま、ファンタジイ/海外文学界のジャンルを超えて、もっとも注目を集める女性短篇作家のひとりである。 |