性差別がなくなりさえすれば、職場には女性が続々と進出し、男性と肩をならべて出世競争に邁進するはずだ。なぜなら男女は本質的に同一の存在であり、求めるものも同じなのだから――60年代フェミニズムが高らかに主張したこの考えは、いまや常識となった感がある。だが現実には、今日なお多くの職場で格差は大きいままだ。仕事にさく時間や地位が男性の標準に近づくほど、女性の満足度が低くなるという調査結果は経済学の世界では有名だし、昇進をもちかけられた女性の4割近くが辞退しているというデータさえある。
他方、子ども時代に自閉症やADHD、読み書き障害をかかえて苦労するのは、圧倒的に男が多い。男は学校中退率も高く、成績でも概して女に後れをとっている。しかし社会に出ると事情は逆転し、成人してから天才的偉業をなしたり、企業などで重要なポジションを占めたりするのは、多くが男だ。
男と女は、やはり本質的に「違う」のではないか? 統計的にもあきらかな生物学的違いを無視して、杓子定規に「平等」を求めることは、本当にわれわれを生きやすくするのだろうか?
気鋭の女性心理学者が、最新の脳・ホルモン研究などの科学的知見に基づき、多くの「逸脱」した男女のインタビューを紹介しながら、性差をめぐるタブーに切り込む。欧米を騒然とさせた話題の書。
■スーザン・ピンカー Susan Pinker
臨床心理士として25年にわたる実績をもつ発達心理学者。《グローブアンドメール》紙で職場の人間関係や倫理についてのコラムを担当するかたわら、カナダ・マギル大学教育カウンセリング心理学部で教鞭もとる。Canadian Medical Associationや, The Periodical Writing Association of Canadaなどから数々の賞を受賞するなど、ジャーナリストとしても評価が高い。『言語を生みだす本能』などで著名な認知心理学者スティーブン・ピンカーの実妹でもある。初の著作となる本書は16カ国で出版され、ベストセラーとなっている。 |