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ホーム > お知らせリスト >世紀の偉業「重力波検出」の全貌が初めて語られる、『重力波は歌う』刊行!

お知らせ

世紀の偉業「重力波検出」の全貌が初めて語られる、『重力波は歌う』刊行! (2016/06/14)



今年の2月、NHKの朝のニュースで、ふだんこの時間帯には耳にしないタームが耳に飛び込んできました――「重力波」。まさか「直接検出」のはずないよな、と、寝ぼけ眼で見ていると、和久田アナが口にしているのはやはり、アメリカの重力波検出施設、LIGO(ライゴ)がついにやりました、というニュースでした。
 
この時間帯に速報として扱われ、ノーベル物理学賞の梶田先生もおめでとうとコメントしてしまう「重力波検出」の、重力波とは何か。それはアインシュタインが、自分の相対性理論が正しければ見つかるはずと予言した、非常にまれな現象のこと。これまでは、ブラックホール級の巨大な質量のものどうしがぶつかったりしないかぎり微細すぎて観測できっこないと言われた現象でした。この重力波が理論上存在しうる、と認められるまでにも時間がかかりましたが、実際に検出するのはさらに難事とされました。それにかけて過去の名声を失った研究者もいましたし、同僚に「無駄なこと」をとさげすまれながらも、検出装置の開発に人生をかけた研究者がいました。本書はそうした、重力波検出にかけた人々の肖像を一般向け読み物として、初めて紹介する1冊です。なぜこれが大ニュースなのかも、本書を読めば実感をもって納得していただけることでしょう。
 
初の重力波検出に功績大であり、下馬評ではこれでノーベル物理学賞受賞確実と評される、LIGOプロジェクトの大立者3人を、人は「トロイカ」と呼びました。本書はその3人、すなわちキップ・ソーン、ライナー・ワイス、ロナルド・ドレーヴァーという科学者たちを中心に、豊富な直接インタビューを中心に、大学図書館の資料までフルに活用し、プロジェクトにかかわった人々の軌跡を丹念に追った、アメリカ版プロジェクトXとも言うべき科学ノンフィクションです。科学上の難問から技術上の難関、人間と人間の軋轢、金銭的な行き詰まり、政治的な駆け引きまで、人間ならではのドラマが、たとえ予備知識がなくともひしひしと感じられるかたちで物語られます。
 
このドラマを詳細に紡ぐことができたのは、自らも重力波の研究にかかわり、数年前からリサ―チをすすめ、現場のワイスやソーンにインタビューを繰り返していた著者だからこそでした。物理学は理論と実験観測の両輪あって発展するものと言いますが、本書の著者は、今回の実験家による偉業を理論家の立場から、シンパシー豊かにたたえます。ニューヨーク・タイムズの書評者は本書を最後まで読んで涙が浮かんだ、と書いていますが、それが大げさかどうか、ぜひご一読ください。
 
数学の「ポアンカレ予想」や「フェルマーの最終定理」解決、物理学の「ヒッグズ粒子」発見、といったビッグニュースに興奮を覚えたかたがたに、あるいはプロジェクトXを胸熱くしながら視聴されたかたがたに、ぜひともお勧めしたい1冊です。
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